遺言あるない事例
こちらでは、遺言があったとき、無かった時の発生してしまった事例をご紹介します。争ってしまうことの事例を当事者と解決してきた弁護士だからこそ、そのご家族に合った「遺し方」をお伝えすることができます。事例をご覧になり、参考にしてみてください。
遺言ある事例 遺言者 80代女性
環境:夫は先に亡くなった。同居の長男50代と別居(結婚して家庭あり)長女50代あり。
同居の長男がよく面倒を看ており、長女については年1度程度の交流頻度。
遺言者は、長男がこれまで面倒をよくみてくれている反面、長女とはほとんど交流もなく、自身の家庭をもっていることから、長男に対して多くの財産を相続させたいと考えている。しかし、自分の死後に兄弟間で紛争になることは避けたいとも考えている。
⇒これまでの生前贈与の金額や相手、相続財産などを加味して、4分の3を長男、4分の1を長女に相続させるとの遺言内容で、付言事項にこの遺言内容にした理由と兄弟間で争いをしないでほしい旨の内容にした遺言書を作成した。
結果:4分の1が遺留分額相当なので、これを相続させること、付言事項にその理由を書くことで将来の紛争防止を図った。
遺言ある事例 遺言者 80代男性
環境:妻は先になくなった。同居の二女と別居(結婚して家庭有)の長女がいる。
二女は、妻が存命のときから妻に対しても献身的に介護をし、遺言者に対しても介護をずっと行ってきた。
一方長女は、実家との折り合いが悪く、生前にお金をせびることはあっても介護など世話は一切してこなかった。
遺言者は、生前に長女からのお金のせびりにまけて、合計2000万円ほど振り込んだり、手渡ししたりしており、相続の際には、長女にはこれ以上渡したくないと考えていた。
一方、世話をずっとしてくれた二女に全ての遺産を相続させたいと考えていた。ただ、長女のお金に対する執着心から相続でもめてしまうことを懸念していた。
⇒相続財産の予定金額が5000万円弱であったが、これまで長女に渡した金額が特別受益であるため、全てを二女に相続させても遺留分侵害にならない(相続予定金額5000万円+長女への生前贈与2000万円=7000万円、遺留分額は法定相続分(2分の1)の2分の1となるため、7000÷4分の1=1750万円、1750万円<生前贈与額2000万円となることから遺留分侵害はない。)。
そのため、遺言者は、全ての財産を二女へ相続させる旨の遺言を作成した。ただし、長女へ渡した生前贈与は、手渡しの分もあり、渡した証拠が残っていないことから、渡した日付と金額を遺言書の付記事項に記載し、紛争防止また紛争になったとしても証拠として使えるようにした。
結果:遺言書の長女へ渡した金銭の記載部分が証拠になって、長女の特別受益が認められ、遺留分侵害が認められなかった。
遺言ない事例 相談者 40代男性
環境:被相続人 父親 その他相続人 妹
父親は生前相談者と実家で同居していた。
兄弟の仲が悪く、妹は父親とほとんど会っていなかった。
父親も生前から実家や財産を相談者に引き継がせると述べていたこともあって、相談者は父親の財産と自分の財産をあまり区別せずに預金の移転や引き出しをしていた。
ところが、父親がなくなると、妹は法定相続分を主張してきた。また、妹が銀行に照会し、預金口座の履歴を取得し、互いの口座への送金や金銭の引き出しがあることを発見してしまい、使途不明な金銭については相談者が使い込んだとして糾弾してきた。
相談者としては、たしかに生活費等について父親名義の口座から出していた部分もあったものの、そのほとんどは父親のために使ったため、自分が使い込んだわけではない旨反論した。しかし、領収書等の証拠を残しておらず、また、普段から名義に関係なく使用していたことから、実際にどの出金をなにに使用したのか全く覚えていなかったこともあり、妹は納得しなかった。
⇒そうしたところ、妹から遺産分割調停及び不当利得返還請求訴訟を申立てられた。長年にわたって、父親の口座と自分の口座と区別なく使用していたことから、不明な点も多岐にわたり、裁判にかなり長い時間を要することになってしまった。
結論:遺言書があれば、このような紛争を防げた可能性がある。